10年前から大きく成長したインド。航空利用者数、経済成長率は高いが、貧困層の人数は依然世界一本日、九段にあるインド大使館で、筆者はインド進出10周年イベントを行う。2013年には当時クールジャパン戦略大臣だった稲田朋美氏から祝辞をいただき、早4年が経った。今回は現在インドで活躍する日本人、日印で活躍するインド人などを迎え、インドの魅力と可能性、課題など、議論の場を提供させていただこうと思っている。
10年の区切りに、振り返ってみた。10年前の首相はDr.Manmohan Singh氏、今年はNarendra Modi氏。政権はCongressからBJPに変わった。2007年7月には、日本からの直行便は日系航空会社ではJALがデリーへ成田から毎日飛んでおり、全日空は飛んでいなかった。2017年7月現在はJALが継続的に飛んでおり、全日空がムンバイとデリーへ毎日ボーイング787を飛ばしている。インド国内の航空利用者は10年前が約4000万人、現在は1億人を超え、昨年日本を抜き世界第3の国内航空産業となった。 数字マジックの国、インド。神戸大学経済経営研究所教授の佐藤隆広氏は、「インド経済は今からが面白い!」と断言。経済自由化になった1991年から早26年。中間層規模において、2020年にインドが中国を抜くと言われており、著者も最初にインドを訪問した1995年と今のインドを比べると、違う国だと思うところが多々ある。 裕福になったインドだが、1.9米ドル以下で暮らすインド人はまだ多く、3割が貧困層だ。世界一貧困層が多いインドでは、2億4000人程はまだ電気がない生活をしている。今後10年で貧困者数が減ったとしても2億人強が貧困層である。この先10年、様々な施作で貧困層が減ることを期待したい。我々は今の生活に感謝し、豊かさゆえの責任を全うしたいと思う。 インドの魅力を発信すべく、会社を立ち上げまい進。ヨガや仏教など日本人にも縁ある風習は日本とインドを繋げられるか 祇園祭りの準備で大忙しの京都にて、阪急大宮のとあるインド料理レストランへランチをしに訪ねた。筆者が運営するインド法人マイドインディアで数年前、数週間インターンを勤めてくれた伊勢司(いせつかさ)さんの店。1988年生まれの伊勢さんは若い実業家で、エネルギーとパワーがみなぎる好青年だ。10歳のとき、初めて1ヶ月間のインド旅行を経験し、同志社大学商学部卒業した後、バナーラス・ヒンドゥ大学観光経営学科修士課程を卒業。「日本とインド、人をつなぐ」をモットーに、(株)ジャパンディア(JAPANDIA)を2015年に立ち上げる。現在は京都にて旅行部門、レストラン部門(本格南インド料理)、サロン部門(アーユルヴェーダ)を展開している。
伊勢さんはインドが大好きだ。彼の母親も、彼のお店のチームも、みなインドが大好き。そして筆者も、インドが大好きである。インド好きの我々としては、もっと大勢の人に良さを知っていただき、楽しんでいただき、インドを好きになって欲しい。しかし、インドの印象がもともと良くない人、嫌いな人があいにく大勢いる。汚い、騙された、下痢をする、上手く連絡が取れない、時間にルーズ等々の意見をよく聞く。確かにインドは完璧には程遠いかもしれないが、良さは沢山あると思う。料理はとても美味しいし、ヨガ、アーユルヴェーダ、瞑想などを生んだ奥深い魅力的な国だと私は思う。 京都の祇園祭も実はインドにルーツがあるが、なかなか知られていない。インドの歴史をもっと学び、インドへ貢献できたらと願って止まない。 この10年で衛生面や生活水準が上がったインド。日本産商品の需要が年間5億円に達する日は来る?先週、インドは雨季真っ只中と話をしたが、日本も今は雨季。蒸し暑い日と激しい雨天日が交互に続いている。そんななか、本日は農水省へ赴き、インドへの和食普及事業の話を聞きに行った。
農水省は今年度、日本から世界へ輸出額を更に2000億円追加予算として挙げているらしい。インドに向けて「5億円の輸出は可能でしょうか」と聞かれた。和食文化が全くないところにプロモーション販促費用なしでどうにかならないのか、と。「5億円は無理でしょう」とお答えした。 民間がどれだけ頑張っても、いきなり5億円の輸出はいくらなんでも無理な話である。興味深いのは、国は前年主義なので、今年予算化した決定事項は今年も来年も執行されると言う。インドは「難しい」イメージがあり、また実際大変な国である。可能性は大いにあるが、踏み込めない事実がある。昨年予算化されておらず、販売実績がないのでプロモーションもできない状態だ。でも、プロモーションしないと売れないのも現実。鳥と卵の状態だ。 我々は10年インドを見てきた。そして10年で大きく変わった。感じるのはインド全体の食生活が非常に豊かになったことだ。外食はもともと平均では月1回程であったが、今では週2-3回。食べたい世界各国の料理の種類もかなり増えた。前までは買えなかった商品が高級スーパーに並ぶ。お酒もシャンパンからワイン、海外ブランドは全て揃う。 10年後も、年間5億円の日本産品の輸出額は“絵に描いた餅”のような感じだろう。インドへ輸出額5億円に達している未来は、正直今の政策では全く見えない。その今の政策を「大問題」だと思いながら、農水省を後にし、蒸し暑い東京の街中でモヤモヤした気持ちを引きずりながら、次の打合せに向かった。 インドは世界最大のヒンドゥー教国家だが、成功した富裕層など仏教寺院へ多額の寄付をする人もインドは今、雨季。日本の雨季は数週間で終わるが、インドの雨季は期間が長く、土砂降りなのが特徴。一方、10月〜5月は全く雨が降らない地域も多く、その期間はイベントを実施するのに天候を気にせず運営出来る利点がある。11月〜3月頃がベストシーズンと言われ、多くの観光客がインドを訪れる。
筆者は今年7月末からインドに10日間程滞在予定。今回の出張では様々な仕事を抱えているが、久しぶりにインドのお寺を訪ねたいと思っている。京都を拠点にしている僕は、滞在中毎日のように清水寺、建仁寺、下鴨神社、法輪寺、大徳寺などを訪れ、手を合わせ、感謝を伝える。お寺の住職と話をすると皆、「我々仏教信者は、全てインドのおかげである」と言う。仏教はインドから生まれており、インドの本山的な場所も含め出かけてみたい。 日本で昨今売れている本で「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」(著:八木龍平)がある。日本には神社は8万8000、寺院は7万7000あると言う。インドは数え切れない程あるといい、全ての道には小さい寺のような存在が無数にあるらしい。インドのビジネスマン、一般人も毎週のようにインドの寺にお参りに行く。ビジネスマンは儲けがでれば、必ず大金をインドの寺に寄付する。インドの「Padmanabhaswamy temple」は、世界一お金が集まると言われる寺。2011年にはなんと2兆円が貯蔵庫に見つかったという話もある。 先日、京都の大手起業2代目社長を会食に招待した。彼は「インド進出はまだ早い」と名言。おそらく彼は、インド視察もしばらく行かないだろう。この10年、そういう経営者を何人も見てきた。インドは、「呼ばれた人が行く国」だと言われる。皆様はもう呼ばれただろうか? |